法改正情報|相続登記が義務(罰則あり)に・土地所有権が放棄できるような法改正が示唆されています:相続をめぐる法改正の動き

法改正情報|相続登記が義務(罰則あり)に・土地所有権が放棄できるような法改正が示唆されています:相続をめぐる法改正の動き

相続発生後の登記義務化(罰則),土地所有権の放棄がを認められる場合を創設・相続の期間制限をもうけるなど劇的な変更(法改正・制定)がなされる方向で進んでいます。

所有者不明土地問題に関し

(1)所有者不明土地の発生を予防する方策と(2)発生した(している)所有者不明土地を円滑で適正に利用・管理できるようにする方策のために2019年の通常国会へ法案を提出する意向と報じられています

 

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これまで発表されている政府方針では,

(1)所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針(H30.6.1所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議決定)で「民事基本法制の見直し等の重要課題については,2018年度中に制度改正の具体的方向性を提示した上で,2020年までに必要な制度改正を実現する。」

(2)経済財政運営と改革の基本方2018(H30.6.15閣議決定)
「所有者不明土地等について,基本方針等に基づき,期限を区切って対策を推進する。具体的には,…相続
登記の義務化等を含めて相続等を登記に反映させるための仕組み,登記簿と戸籍等の連携等による所有者
情報を円滑に把握する仕組み,土地を手放すための仕組み等について検討し,2018年度中に制度改正の
具体的方向性を提示した上で,2020年までに必要な制度改正の実現を目指す。」)とされています(法制審議会資料参照)。

所有者不明土地の発生を予防するための仕組みとして

(1)不動産登記情報の更新を図る方策⇒相続登記の申請の義務化等

(2)所有者不明土地の発生を抑制する方策⇒①土地所有権の放棄,②遺産分割の期間制限

所有者不明土地を円滑・適正に利用するための仕組みとして

(1)共有関係にある所有者不明土地の利用(民法の共有制度の見直し)

(2)所有者不明土地の管理の合理化(民法の財産管理制度の見直し)

(3)隣地所有者による所有者不明土地の利用・管理(民法の相隣関係規定の見直し)

 

※所有者不明土地問題に関連し平成29 年3月,「所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関する検討会」が「所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン(第2版)」を発表しています。


2019年2月に金融財政事情研究会主催「登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会」 (座長=山野目章夫早稲田大学大学院教授)は, 「登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究報告書~所有者不明土地問題の解決に向けて ~」を発表しました。これは,政府・法務省の問題意識,法改正の方向性と極めて近く,その根拠・基本的な考え方を構成しているものと間考えられます。

 

同報告書では,不動産登記簿により所有者が直ちに判明せず又は判明しても連絡がつかない所有者不明土地が発生・存在することにより多大な問題が発生していることから抜本的な対応策を提言しています。

 

※問題点=①相続等による所有者不明土地の発生,②所有者探索の負担,③共有関係にある土地の利用・管理の支障,④財産管理制度における管理コスト,⑤近傍の土地の利用・管理の支障等

 

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<報告書の要点1:遺産分割の期間制限>
遺産分割の期間制限に関し,遺産分割を促進し,遺産共有を解消する観点から,次のような規律を設けることについて,引き続き検討すべきである。
① 遺産分割の協議(合意)及び遺産分割の申立ては,相続の開始時から〔3年〕〔5年〕〔10年〕以内にしなければならないものとする。
② 相続の開始時から〔3年〕〔5年〕〔10年〕を経過するまでに,遺産分割の協議(合意)及び遺産分割の申立てがない場合は,法定相続分(又は指定相続分)に従って,遺産の分割がされたものとみなす。

<報告書の要点2:土地の登記申請義務>
土地について相続による所有権の移転が発生した場合には,相続人等は,これを登記に反映させるために必要となる登記申請をする公法上の義務を負うとする方向で,引き続き検討すべきである。登記申請義務の対象となる権利について,不動産の権利関係を的確に登記に反映させる要請は,所有権に限られず,不動産登記法第3条に掲げる権利(,所有権,地上権,永小作権,地役権,先取特権,質権,抵当権,賃借権及び採石権の9種類として定めている(なお,民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)による改正後は,配偶者居住権が追加され,10種類となる。))についても同様にあると考えられる。また,相続等が発生した場合に登記がされないままとなるおそれについても,同様に不動産登記法第3条に掲げる権利にも認められると考えられる。そこで,不動産登記法第3条に掲げる権利を広く登記申請義務の対象とすることも考えられる。

※登記申請義務の対象となる財産は,土地だけでなく,建物をも対象とすることについて,登記申請義務の根拠や必要性に留意しつつ,引き続き検討すべきである。

<報告書の要点3:過料による制裁>
登記申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは,一定金額の過料に処することについて,引き続き検討すべきである。


<報告書の要点4:時効取得を原因とする所有権の移転の登記手続の簡略化>
登記義務者の所在が知れない場合の時効取得を原因とする所有権の移転の登記の申請を登記権利者が単独で行うことができるものとすることの是非については,単独申請を認めるための要件及び手続等に十分に留意しつつ,次の各案の採否も含め,引き続き検討すべきである。


<報告書の要点5:土地所有権の放棄>
所有者不明土地の発生を予防する方策として,一定の要件を満たす場合に,土地所有権を放棄することを可能とすることについて,引き続き検討すべきである。


民法においては,所有権以外の物権や債権につき,権利者は,その単独行為により,原則として自由に権利を放棄することができるものとされている(第268条第1項,第287条,第519条等)。所有者不明土地の発生防止の観点からは,土地の所有を望まない者が土地を手放すことを許すため,上記の権利放棄自由の原則を踏まえ,土地所有権を放棄することを広く認めることが有用であるとも考えられる。
他方で,土地の所有者は,土地の使用,収益及び処分をする権利を有するが,同時に,自己の土地上の建物を所有又は占有する場合には,相隣関係や不法行為において,土地の工作物に関する一定の義務や責任を負うほか(民法第216条,第717条等),土地に係る固定資産税の納税義務を負う(地方税法第343条第1項)など,土地の管理コストを負担する立場にある。そのため,仮に,所有権の放棄を原則的に認めるとしても,「土地所有権の放棄」を認めることは,土地の所有に伴う義務・責任の放棄をも認めることになるから,他の権利の放棄とは性質を異にする部分がある。
また,所有者不明土地の発生を予防する観点から,帰属先機関において管理をすることを前提として土地所有権の放棄を認める政策判断を行うとする場合であっても,帰属先機関に土地所有に伴う上記の義務・責任を転嫁することにならざるを得ないため,無条件に放棄を認めることは困難である。
以上を踏まえ,土地所有権の放棄については,無条件に認めるのではなく,一定の要件を満たす場合にのみ認めるものとすることにつき,引き続き検討すべきである。
4 なお,この検討に当たっては,いざとなれば土地所有権を放棄すればよいと考えて土地の管理を適切に行わなくなるようなモラルハザードを許すべきでないという指摘にも留意する必要がある。また,所有者不明土地の発生を予防するために,所有者が土地を手放すことを認め,適切な管理をすることができる機関に土地を管理させる方策としては,土地所有権の放棄以外にも,贈与契約(寄附)なども考えられるところであり,こうした他の方策の活用についても並行して検討する必要がある。加えて,現行法においても,相続の機会には,相続の放棄をして,相続人とならなかったものとみなされることにより(民法第939条),個人が土地所有に伴う義務や責任を実質的に免れることが可能であることとの関係にも留意すべきである。


所有権放棄の要件・効果
⑴ 次のうちいずれか又は複数の事情がある場合に土地所有権の放棄を認めるものとすることにつき,引き続き検討すべきである。
① 土地を手放したい者が土地の管理に係る費用を負担するとき(例えば,適当と認められる金員を支払ったとき)
② 帰属先機関が負担する管理に係る費用が小さく,流通も容易なとき(例えば,土地上に建物が存在せず,土地の権利の帰属に争いがなく,隣接地との筆界が特定されているとき)
③ 所有者に責任のない事由により,所有者が負担する土地の管理に係る費用が過大になっているとき(例えば,自然災害等により土地に崩壊等の危険が発生し,土地所有者や近隣住民の生命・財産に危害が生ずるおそれがあるとき)
④ 土地の引受先を見つけることができないとき(例えば,土地を手放したい者が,競売等の公的な手続により売却を試みても買い受ける者がないとき)
⑤ 帰属先機関の同意があったとき

 

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